1998/09/24 |
平成10年 9月定例会-09月24日
請願第7号中学校社会科歴史教科書から「従軍慰安婦」の削除を求める意見書の提出について 反対討論
従軍慰安婦問題について 各議員の態度は
まず、文教委員会では、賛成をしたのが高津利明、宮川日吉、三木亮二、大橋英雄、田中昭三議員。(以下敬称略)反対は、羽場頼三郎、苦水重徳、浅野秀孝、坪井貞夫。
本会議では、賛成討論を太田稔が、反対討論を田尻祐二、横田悦子、若井たつ子、辻野喬雄、羽場頼三郎がしました。
採決で賛成をしたのは、24名です。高津利明、宮川日吉、奥野三四志、井村嘉久、貝原信三郎、磯村博、梶原昌一、河合和成、川田敏幸、佐々木清巳、太田稔、柴田健二、三木亮二、大橋英雄、田中昭三、土肥啓利、服部勇、伏見源十郎、藤原貢、堀川進、宮武 博、向井英雄、山田録二郎、吉本喜一。
反対は、羽場頼三郎、大下隆章、苦水重徳、浅野秀孝、坪井貞夫、磯野昌郎、内田宏哉、串田 務、近藤昭、崎本敏子、田尻祐二、田畑賢司、辻野喬雄、寺田和子、則武宣弘、福原弘子、藤沢和弥、山田勇、横田悦子、吉田政司、若井達子の21名。
退場は垣下文正、太田正孝の二名です。
◆(羽場頼三郎君) 私は,今回の請願第7号の採択に対して反対の討論をさせていただきたいと思います。
今まで各議員からいろんな意見が出されました。反対の討論,賛成の討論がなされました。重複は避けたいと思いますので,私の考え方,3点に絞ってお話をしたいと思います。
まず第一は,地球市民という観点から,この請願には賛成できかねる。20世紀も終わりに近づきまして,次の世紀もあと少しというところにやってきておりますが,この世紀を振り返ってみると,第一次,第二次の世界大戦,その後の冷たい戦争と言われる時期も加えて,戦争というその人類最大の不幸,これをなくすための努力がこれからの我々にかかっている。次の世紀は,そうした戦争をなくするための,戦争のない世紀にしたい,これは共通の願いだと思います。その戦争をなくするためには,宗教とか民族の対立,国家の対立というものを終わらせる必要がある。それぞれの立場を強調するのじゃなくて,地球市民という気持ちになっていかなくちゃならない。
国境が人間を隔てる時代は既に終わっている。国家が最高の価値,こういう考え方を乗り越えて我々が寄って立つこの地球のそれぞれの一市民だと,こういう考え方からすれば,民族的な,また国家的な対立をけしかけるような,そういうおそれのあるこの請願の趣旨を認めてはならないと思うところであります。
第2点は,議会の良識を守りたいという点であります。岡山市と岡山市議会は,これまでこの種の問題には常識的な判断を外れたことはなかったと思います。また,弱者をおもんばかった施策にも積極的であると言ってよいかと思います。在日外国人の方に対する市営住宅の提供でありますとか,また就職の際に問題になりました在日外国人の採用の件につきましても,また無年金の問題につきましても,認識が常識的な判断で落ちついているということが私は言えるのじゃないかと思います。
先ほど指摘もありましたけれども,この請願と同趣旨の陳情に対しまして,昨年の2月と6月の,いずれの議会でも否決をいたしております。そうした今までの議会の我々の姿勢を考えたときに,それを事情の変化も特にないのに態度を変えるということは,私は議会の良識を疑われても仕方がない。そういう事態に陥らないようにするために,この議会でのこの請願の否決をぜひ皆さん方にお訴えをする次第でございます。
最後に,人間としての観点から申し上げたいと思います。
戦争に非合理はつきものとする考え方,これは戦争そのものを肯定をすることになりかねない。私はそういう考え方はとりたくないと思います。恐らく,賢明な議員の皆様も同じだと推察をいたします。ほかでやっているから少しぐらいいいじゃないか,少々のことは多目に見たらいいじゃないかと,こういう身勝手な議論というのは,その戦争によって被害者となる弱者──力のないお年寄りであったり,子供であったり,女性──そういった方々に被害が及ぶ。このことを深く反省をしたのが,我々の今生きている時代じゃないかと思います。
口でどのように言い逃れをしても良心は許さないはずでございます。良心に従った行動をとるなら,昔の出来事を隠したり,自分はそんなことは知らなかった,こういう理由を成り立たせることはできないと思います。
私の父の兄であります羽場寛,これはサイパンにおきまして戦死をいたしております。まだ,20歳そこそこで,高松農業高校で農業を勉強してこれから農業をして地域で暮らしていこうというさなかに戦争に行ったわけですが,また剣道をして体を鍛えてこれからいよいよ人生が始まろうというときに,それを戦争によって命を散らされた。その無念の思いは私の祖父や祖母,また父などからもよく聞かされております。そうした思いをぜひ我々の世代で,そして次の世代で戦争をなくすると,こういう方向に持っていくためにも,こうした民族的な,また国家的な対立をぜひ一人間としてなくしていきたい。その思いを恐らく各議員の皆様もおわかりをいただけると思いますので,ぜひこの請願について反対の立場をとっていただきますようにお願いを申し上げ,私の反対討論とさせていただきます。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
1998/06/24 |