1998/06/17

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平成10年 6月定例会-06月17日

リサイクル社会をつくるために・食器の安全性


◆(羽場頼三郎君)  それでは,通告に従いまして質問をさせていただきたいと思います。

 まず,市長の政治姿勢についてですが,今回中学校の統合問題で,県との新たな協力関係ができた。私は,これは非常にいいことだと思います。これに関連をいたしまして,今市民の皆さんからもいろんな声をお聞きをしてるところですが,丸中の跡地を県立図書館にするというのは,県民全体もそうかもしれませんけれども,一般市民もかなり評価をされている。特に,前の県立図書館の計画はですね,かなり無理があった,そういうふうに感じられている。そこで,今回は非常にいい傾向だというふうに受けとめられているのじゃないかと思います。

 ただ,農政局の跡地の利用については,将来総合歴史博物館にという構想ですが,これは総合歴史博物館についての理解がまだいただけてないのかなあという感じがして,直ちに賛成という方ばかりではない。今のところまだ数をまとめてるわけじゃありませんが,そういう傾向が見られます。

 吉永町の産廃についても,また近くは牛窓の産廃撤退のことがきょうニュースに載っておりましたが,県知事もかなり県民の声に耳を傾けるようになってきたなという感じがいたします。そういう意味では,選挙のやり方はともかくとして,県民のために仕事をしてくださるというのは非常にいいことでございますから,岡山市との協力関係がさらに進めばいいと。市長の政治姿勢もその辺にあらわれてきているなということで歓迎をしたいと思います。
 その中で,市長への直行便でございますが,この運用につきまして少し質問をさせていただきたいと思います。

 こういった形で一般市民と行政のトップにホットラインができると,これは古くは徳川時代にも目安箱のような形でございましたし,世界的にもいろんなところであるかもしれませんが,いずれにしても市民参加を進めていく一つの方法として非常にいいことだと思います。

 市長が直接目を通されるのは非常にいいんですけれども,それを悪用をして,自分の利益を追求するという人も出てくるかもしれませんし,またうっぷん晴らしに使うというようなこともあるかもしれません。しかし,そういったマイナス面を差し引いても,この制度というのは非常に行う価値があるというふうに思います。

 ただ問題は,そうやって市長が目を通すという大原則を貫こうと思えば,これを市長に見てもらうということを期待して出した方の市民がですね,出したけれどもなかなか見てもらえないということになると,本当に見てもらっているんだろうかというようなことにもなりかねない。お聞きしたところによると,1年間でかなりの数が寄せられているということでありますから,本数が多くなればなるほど市長が目を通す時間がなくなってくるんじゃないかなあという気がいたします。その辺の事情がなかなか市民の皆さんにはおわかりいただけないわけですから,もしそういうようなことで市長が目を通す時間がなかなかない。かといってそればっかりやっていたんじゃ本来の仕事もできませんから,そこら辺が難しいところだと思うんですが,もし手紙を受け取ってから,時間がかかる,場合によっては1カ月ぐらいかかるような場合には,どういうふうにしたらいいのかと。もし市の方で,これについて何らかのお考えがあればお知らせをいただきたいと思います。

 それから,職員採用についてでございますが,これは今回の議会で質問が出ました。則武議員でしたか,私もやはり職員採用については,国籍がどうこうじゃなくて,岡山市で仕事をしたいという方がですね,どういう意欲があるのか,その人はどういう能力を持ってるのか,その人を採用することによって岡山市が市民のためにどういうサービスが提供できるのかと,そこで判断をすべきであって,国籍で判断をすべきじゃないと思いますので,その辺のところは共通の考え方ですが,これについては一応答弁が出ておりますので,削除したいと思います。

 さて,リサイクル社会をつくるためにというちょっと大きなテーマにさせていただきましたが,特に集団回収と古紙利用につきましてお聞きしたいと思います。

 ごみ問題というのは,環境問題の中でももう既にメーンテーマだと言われているような時代ですが,特に緊急に手を打たなければならない課題として,私はリサイクルルートの確保というものがあるんじゃないかと思います。

 今,集団回収が風前のともしびじゃないかと私が言おうと思いましたら,風前のともしびはちょっと言い過ぎじゃないかと,こういう御指摘がありました。しかし,実際問題として,リサイクルルートというのは一度切れてしまえば,また新たに構築するというのは非常に難しい。例えば一升瓶の例なんかでも言いますと,一升瓶はもう繰り返して洗って使う,だから洗いやすいような形になってるし,それからそれが一定のケースに入って,酒造メーカーからお店に届く,お店から消費者に届く,それから消費者が飲み終わったら,またお店から瓶問屋を通って製造メーカーに行くというルートができていたわけですが,このルートが今にも切れそうになっているということがあります。

 紙の方で言ってもですね,紙も今まで新聞紙であったり上質紙だったり,また段ボールにしても,また雑誌にしても,それぞれ回収がされていた。ところが,今は例えば雑誌なんかは,もう逆有償になってきて,集団回収のルートに乗らなくなってきてるというふうにも言われます。これはどういうことかと言えば,いわゆる紙余り現象ですね。たくさん回収をされたことによって,今度は回収をしたのはいいんですけれども,その回収された紙を再生して利用すると,こうなるときに,利用が少ないとなると,製紙メーカーの方もせっかくつくっても売れませんから,だからなるべく製造を減らす,在庫を減らすということになって,結果としてもう再生パルプの需要がないので,そうした紙はもう買わない。いわゆる買い渋りということになってくる。ここは私は非常に問題だと思います。

 古紙を回収するということと,その回収された古紙を使ってできた再生品,これを利用するということが結びついていないところに大きな原因があるんじゃないかと思います。

 市は今集団回収に対して,キロ6円ですか,補助金を出しておりまして,先日大下議員の方からもこれについて見直しを求める質問がございました。私もそれはそれで大切かもしれませんが,同時に例えば,その補助金が──奨励金の形ですか──がこの子供会の運営資金などに使われているから,それはそれでいいんですが,しかしそうした奨励金を出す以上,この奨励金はぜひ古紙の再生利用に使ってくださいと,ある意味で条件みたいなものをつけることも必要になってくるんではないかなあと思います。

 よく町でスピーカーなんかで流しながら,古紙回収の業者が回ってきてますね。あれは最近お金じゃなくて,ほとんどトイレットペーパーとかティッシュペーパーにかえてくれます。あそこでは,まさに業者が再生のトイレットペーパーを用意しているんですよ。ですから,紙を出す,またトイレットペーパーを使うということで,ある意味では紙のリサイクルが完結しているわけです。ところが集団回収になりますと,せっかくこのリサイクルをする,量をまとめて出す,ところがそのまとめたことが結果として再生品として利用されなければ,この大きなリサイクルの輪ができないということになってしまいますので,この奨励金を出すかわりに,例えば半分ぐらいは,現物で,紙で出すとか,先ほど申し上げましたように,この奨励金はぜひ古紙を買うために使ってもらいたいという条件をつけるとか,こういうことにしたらどうかと思いますが,その辺のお考えをぜひお聞きしたいと思います。

 これは,以前にも質問したことがございますが,東京の立川市は立川方式といいますか,立川ブランド,立川印の古紙というのを表に掲げて,立川で出た紙を再生したものは,立川市民が使うんだということで,すべてそういうシステムをつくっておりますので,岡山で使われた紙は岡山にまた環流してくると,こういうようなシステムを私はつくっていくべきじゃないかと思いますが,これについてのお考えをぜひお聞かせを願いたいと思います。
 それから,生ごみの処理についてお聞きをします。

 生ごみも,やはり土から生まれたものは土に返すという大原則をぜひ実践していただきたいなと思います。

 企業も,今ゼロエミッションという形でごみゼロを目指しております。最近ではキリンビールとかアサヒビールのビール会社が工場から出るごみをゼロにして注目をされております。これは,ビールをつくるために使いました麦だとか,その製造についての副産物を肥料化したり,例えば戻ってきた瓶は瓶として再利用する,キャップが戻ってくれば,あれは鉄の部分は鉄として再利用するとか,そういうことで,工場からごみを出さないということでやってるようで,そういうことを,ぜひ我が市としてもやっていくべきじゃないかと思います。

 広島市では資源リサイクル型工業団地というのを今度新設されるそうでございます。私も,最近事務所のそばに空き地がございまして,そこで野菜をつくることを始めまして,まあ大したものはできないんですが,けさたまたま寄りましたら,こういうキュウリができましたので持ってきました。これは素人がつくっているキュウリで,私は農薬を使わないキュウリが食べられるのはうれしいなと思いますが,本当にうれしいのは,生ごみを市の方に出さなくて済む,自分の家庭から,ごみを減らそうということが実践できるということが,私は非常にうれしいことだなあと思います。

 しかし,これはまあごく個人のレベルですから,もう少し広いレベルで,こうした生ごみのリサイクルができないものかというふうに思っておりますので,それでお聞きをしてみたいと思います。

 東京の北区では,公園の落ち葉なんかで堆肥をつくりまして,それを群馬県の提携をしている村に持っていく。そこでサトイモとかゴボウとかニンジンをつくって,学校の給食にまた取り入れると,こういうことをやっております。また石川県の根上町の方では,町内の保育園や青年の家など公共施設に生ごみの堆肥化容器を設置しまして,できた肥料をまた町の中で利用する。富山県の立山町では,もう既にモデル地区で,生ごみを,分別収集をして,その地区地区で生ごみを堆肥化するということもやっております。石川県の県庁では,県庁から出る生ごみ──これは残飯とかお茶殻で,1日大体80キログラムぐらい出るんだそうですが──これを発酵,乾燥させて肥料にするための予算が通ったそうですから,今年度でスタートさせるというふうにお聞きをいたしております。

 市の庁舎から出るごみ,同じようなものはどうなっているのかということをお聞きをしてみたいと思います。

 昨日,宮武議員の方から非常にいい質問がございまして,緑のリサイクルというのが実践をされる日も私は遠くないんじゃないかと思いますが,同じことなんですね。あれも,同じように堆肥化をして,肥料にして使うということで,生ごみをなくしていくということで,この岡山市の市庁舎に限らず,公共施設すべてそうですが,これをぜひ実践するべき時期に来ているんじゃないか。また,学校においても,焼却炉がないわけですから,焼却炉がなくなったんだから,その出てくるごみは全部ごみとして出してしまうというやり方──そんなやり方しているかどうか,ちょっとお聞きをしてみなくちゃわかりませんが──私が聞いてるところで言えば,紙はかなりリサイクルをされているとかいうふうになっているそうです。生ごみの方も,かなりの部分コンポスト容器に入れているということもお聞きをしているんですが,実際今どのように処理をされているのかお聞きをいたします。

 それから次,合成樹脂の利用についてでございます。
 合成樹脂──プラスチックなんですが──これは我々も大変恩恵を受けている便利なものです。しかし,その合成樹脂が環境に与える影響というものも無視できないと思います。これを燃やすことで発生をいたしますガスとかダイオキシン,また利用している間にしみ出てくる環境ホルモンなど,便利さと引きかえに生命に及ぼすいろんな危険というものもある。そういうことで,安全性が失われてしまうということも私は忘れてはならないと思います。

 特に,塩化ビニールについて申し上げますと,私以前に市の工事で,特に塩ビについては,利用を減らす。そういうことを考え方として取り入れるべきじゃないかという提案もさせていただきましたけれども,埼玉県の庄和町という町があるんですね。そこでは,町民に印鑑証明を発行する際に──岡山市の場合は紙ですけれども──そこでは塩ビのカードを発行しているんですね。このカードを,塩ビ製をやめて分解性原料に変えることにしたそうです。穀物類を原料としまして,土に埋めれば自然に戻る,そういうものだそうです。

 岡山市でも,印鑑証明は違いますが,ふれあいカードとか,それから市民病院の診察カードとかいろんな形でカードの発行をしておりますから,細かいことかもしれませんけれども,そういった塩ビの利用を切りかえるということを検討してみたらどうかということでお聞きをしたいと思います。

 文具について,あるメーカーはことしの7月には塩ビの比率を30%に落とす,2000年の7月には文具の材料すべて,塩ビからほかのものにかえることを決めたというようなことが新聞でも報道をされております。そうした塩ビをなくす方向について,市の取り組みについてお聞きをしたいと思います。

 それから,食器についてですが,この食器は,我々が家庭で使うものもそうかもしれませんが,特に給食なんかで使われるものには,合成樹脂製のものが多い。学校はステンレス製ということで,そうした心配はないかと思いますが,しかしそれ以外にも市は給食を出しておりますから,そこらではどうなっているのかということがちょっと気になります。今何を使われているのか,またそれを変更するお考えはないかということをお聞きをしたいと思います。

 また,その食器に入れる中身の方ですが,いわゆる食材,その食材の缶詰には,内部を合成樹脂でコーティングをして,それでいろんな食材を詰めて使われているものがあるというふうにお聞きをしておりますけれども,今市の給食で使っているものにそうした缶詰,コーティングした缶詰を使っているかどうか,これをぜひお聞きをしておきたいと思います。

 今,環境ホルモンということが非常に問題になっております。この議会でも質問が出ておりましたが,外国製の野菜の缶詰のうちには,20銘柄のうち14銘柄でポリカーボネートの中に入ってるビスフェノールAが検出をされたという例が,消費者連盟が発行しております消費者リポートに載っておりました。こういったこともありますので,このポリカーボネートについては東京都も調査を開始するということが報じられておりました。岡山市については,まだはっきり調査をするというところまでは行っておりませんけれども,そういったことが検査できる体制にあるのかどうか,やろうと思えばすぐできる体制にあればですね,これはまあまだいいわけです。そういう意味で,岡山市は中核市として保健所も持ってるわけですから,そうしたポリカーボネートなんかについての検査体制が現実にちゃんと組まれているかどうか,これをお聞きしたいと思います。

 以上で私の1回目の質問を終わらせていただきます。どうも御静聴ありがとうございました。(拍手)

◎市長(安宅敬祐君) 羽場議員の個人質問に対しまして御答弁申し上げます。

 市長への直行便の返事がおくれてる場合の準備といいますか,対応ということでございますが,市長への直行便は市民の皆様方から直接御意見を伺うことによりまして,市民の方々の幅広い考えを反映した市政を進めたいということで昨年の5月から始めたものでありまして,9年度中には匿名,実名ひっくるめて685通のお便りをいただきました。直行便の名のとおり,すべて私が直接目を通した上で,匿名以外,可能な限り返信を出すことにしております。

 議員御指摘のように,返信を出すまでに時間を要しておるという点は,反省をいたしているところでございます。中にはきめ細かな,物すごい細かな,地図も相当厚いものがありまして,その検討に担当部署の方でも相当時間がかかるということもあります。今後は,返信がおくれる場合は,非常に心配もされるし不満もあるということでありますので,そういう場合には市民の皆様方から直行便が私の手元に届いていないのではないかという御心配をおかけすることのないように,お便りをいただいた方へその旨をお知らせをし,現在検討しているんだということを御返事をするというシステムにしたいと考えております。

 次は,リサイクル社会をつくるということでございますが,御指摘の点はすべてごもっともでございまして,たくさん回収されたことによって紙余り現象が,例えば古紙についてありまして,それが一たんリサイクルルートが寸断されますと容易に戻らないということも御指摘のとおりでございます。そういう意味では,その回収とともにその再生品を利用するということが何よりも大切でございます。そういったようなことが岡山でもっとシステム化できないかという御質問でございます。

 やっぱり集めるだけではなくて,使ってこそリサイクルの輪が完成するという,そういう観点に私どもは立たなければいけませんし,そういう意味で資源回収と再生品の使用拡大に取り組んでいるところでございます。なかなか決め手がないというところでございますが,まだまだ再生品の使用は定着しているとは言えない現状でございまして,一般市民の方々には広報紙や地域イベントなど,機会あるごとに繰り返し啓発を行っております。市も率先してやらなければいけないということでありまして,平成10年度は古紙100%のトイレットペーパー──トイレットペーパーはすべて古紙ということにしておりますし──それから古紙100%白色度70%のコピー用紙──コピー用紙はすべてそういうふうにしております。それから,封筒は古紙が70%ということであります。それからファイル──このようなものをとじるファイルですが──これは古紙混入100%のものを購入をしております。市としても,再生紙の使用には率先して取り組んでおりますが,こうした取り組みを順次市域全体に拡大してまいりたいと考えております。

 なお,ちょっと申し上げますと,平成8年度──一昨年度ですが,本庁舎からの紙類の排出量で,再生資源に回したものは約200トンになっております。一方,用品会計による古紙再生の事務用品の購入は,先ほど申し上げたものを入れまして約130トン余と,こういうふうになっております。

 社団法人の全国都市清掃会議からも,古紙については再生紙の利用拡大が不可欠であると,各自治体に対してみずから率先して再生紙利用を推進する取り組み,あるいは消費者や事業者への再生紙利用の呼びかけ,そして国と製紙メーカーに対する利用促進のための有効な取り組みを行うことなどを要望しました緊急アピールを出しております。

 地域で資源回収に取り組んでいただいている団体へは,子供会や婦人会,町内会などさまざまでございますが,すべての団体に対してその報奨金の一部を,お話のように現物支給といいますか,トイレットペーパー等にかえて返すと,あるいは再生紙購入を義務づけると。これは現実には,こういう団体に聞いてみなければわからないんですが,トイレットペーパー等で全部返すとなると,もう使い切れないぐらい返すということになるわけでありまして,回収団体の方がそっちの方を選択するかどうかというのは,確かめてみなければなりませんが,いずれにしましても,市民一人一人の方がリサイクルの必要性を認識して,自発的に再生紙の使用を,広く実践する機運を醸成しまして,リサイクルの輪をつくっていくということを目指していきたいと考えております。

 立川方式のように,自分のところで回収された紙はみずからの市内で全部使うというシステムも確かにユニークなシステムでありまして,私どもとして本当にそれができるかどうか,こういったものについては立川方式についてまだ勉強不足でありますが,情報収集しまして,岡山にもっと適した,もっと再生紙をとにかく使うという方策について,さまざまな角度から検討してまいる所存でございます。

 なお,その他の御質問につきましては,担当局長の方から御答弁させていただきます。

◎総務局長(橋本豪介君) リサイクル社会をつくるためにの中の生ごみの処理で,庁舎から出る生ごみの肥料化の検討について御答弁申し上げます。

 市庁舎から出る生ごみにつきましては,現在は市庁舎の清掃業者,それから市庁舎の食堂入居業者が廃棄物収集運搬業者に引き取ってもらいまして,市の焼却場で焼却処分を行っております。

 議員御指摘の肥料化につきましては,昨日の宮武議員の個人質問に市長がお答えしたとおり,既に市内の公園,街路等から発生した剪定枝の堆肥化の実験例もございますが,市庁舎から排出されます生ごみの肥料化につきましては,先ほど御紹介のありました場所を初めとし,先進都市の取り組みも参考にしながら,関係部局と協議する中で鋭意研究してまいりたいというふうに考えております。

◎保健福祉局長(角田誠君) まず,塩化ビニールについて,埼玉県の昭和町の塩ビのカードを,例に挙げられての塩化ビニール製品にかわって環境に優しい製品を導入することについての取り組みのお尋ねでございます。

 本市は,環境基本計画の策定を踏まえ,市自身が率先してすべての事業活動等への環境への配慮を実践していく方針でございます。このため,御指摘の塩化ビニール製品のように燃焼時にダイオキシンのような有毒ガスを発生するおそれのある製品の使用は極力抑制していかなければならないと考えております。

 既に滋賀県では,「環境にやさしい物品の購入基本指針」を作成し,その中で焼却時に有毒ガスを出さない製品を含んだ環境対応製品の購入を推奨しているとお聞きしております。

 本市といたしましても,これらの事例も参考にしながら,今後設置予定の環境基本計画推進のための庁内組織等の中で,これらの製品に関する使用実態の把握に努めますとともに,環境対応製品の使用促進を図ってまいりたいと考えております。

 次に,食器につきましての一連のお尋ねに一括して御答弁申し上げます。
 市の施設で給食を行っている施設は,小・中学校以外に保育園,病院,養護老人ホームなどがございます。これらの施設の食器につきましては,保育園がポリカーボネートを,病院が強化磁器,メラミン,ポリプロピレンを,養護老人ホームがメラミン,強化磁器,陶器を材料としたものを使用いたしております。

 ビスフェノールAを原料といたしますポリカーボネートの安全性につきましては,厚生大臣の諮問機関でございます食品衛生調査会で検討が進められてきましたが,本年3月にはポリカーボネートの内分泌攪乱作用は極めて弱いこと,ポリカーボネートからのビスフェノールAの溶出──とけ出すということですが──溶出は極めて限られていることなどから,現段階の知見において使用禁止等の緊急な措置を講ずる必要はないとの見解が示されたところでございます。

 本市といたしましては,この見解を踏まえ,現状ではポリカーボネート製食器の変更までは考えておりません。

 次に,缶詰についてでございますが,その一部についてはビスフェノールAを成分とするエポキシ樹脂が内面塗装材として使用されております。これにつきましては,国の定める溶出基準はございませんが,現在缶メーカーでは食品,飲料に使用する缶を全面的に新タイプに切りかえることなどを検討しているとお聞きいたしております。

 先ほど申し上げました市の施設においても,一部の献立については輸入缶詰を使用しておりますが,できるだけ国内産の生鮮品を使用するようにし,輸入缶詰を使用することは必要最小限にしたいと考えております。

 また,食品衛生法に基づきます食器類等の検査につきましては,本市の検査施設において実施すべく,現在準備を進めているところでございます。

 いずれにいたしましても,環境ホルモンに関しましては,国等の調査研究の推進に市として積極的に協力いたしますとともに,その動向を見守りながら市としての体制を確立し,市民への情報提供あるいは施策について適切に対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

◎教育長(戸村彰孝君) 羽場議員の御質問にお答えいたします。

 まず,生ごみの処理についてでありますが,土から出てきたものは土に返すという大原則は私も大変大切なことだと思っております。

 生ごみのリサイクルの一端といたしまして,小学校ではコンポストを36校で68基,中学校では9校で28基設置して肥料化を図っておりまして,学校菜園などで活用をいたしております。

 また,今年度農林部の事業であります学童農業体験授業を小学校18校で実施することといたしておりまして,生産面での体験を拡大する努力をしておるところであります。

 その他の学校におきましては,学校給食の残菜等の生ごみの処理につきましては,ほとんどが週2回収集指定日に収集いたしまして,焼却処理をしていただいておるところであります。

 生ごみの肥料化の方法につきましては,高速発酵処理あるいはバイオ処理,また乾燥処理などさまざまな方法が開発をされておるのでありますが,費用対効果の面からも考える必要があるので,研究課題といたしたいと思っております。

 次は,食器につきましての缶詰の問題でありますが,学校給食の献立作成に当たりましては,可能な限り生鮮物を使用するということで献立をつくっております。しかし,季節的に生鮮物が入手できない場合とか,缶詰の形態でしか使えないものが若干あるわけでありまして,そういう場合輸入食品の使用もやむを得ないというのが現状であります。

 環境ホルモンが大きな問題となっている中でありますので,給食物資の使用に当たりましては,そういう疑いの持たれるものにつきましては,極力これを使用しないように努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

◆(羽場頼三郎君) 済いません,再質問をさせていただきます。

 先ほどの紙のリサイクルなんですが,確かに団体によっては,現物じゃ困ると,お金の方がいいというところもあるかもしれません。しかし,例えば現物で来れば,それを町内なり,老人会の皆さんにまた売ってもいいわけですから,とりあえず出ていった紙が戻ってくることが大切なんですよ。それを,例えば子供会の運営資金にしようと思えば,それをその町内で販売するなり何なりすればいいわけですから,そういう形もあり得るということで,ひとつ御検討いただきたいと思います。

 それから,市庁舎内の生ごみの肥料化ですが,これは肥料だけでもないですね。以前は飼料にもしていたわけです。豚なんかの飼料に非常にいい,新鮮ですからね。そういうものも含めて,ぜひこれは研究していただきたいなあと思います。

 それも,ただ研究するのももちろんいいんですけれども,研究だけじゃやはりだめで,リサイクルでも何でもそうなんですけれど,やはり実践が非常に大切なもんですから,ぜひ研究は実践を前提とした研究であるのかどうか,そこを重ねてお聞きをしておきたいと思います。

 それから,塩ビの製品についてはだんだん切りかえていく方向だということで,これはいいと思いますが,先ほどちょっとお聞きしました市が提供してる給食の中で,やはり合成樹脂の食器も使われているようですから,厚生省がどう言ってるかは別として,やはり我々としては安全なものにしていただくということにこしたことはないわけです。学校の方でもちゃんとできているわけですから,買いかえをする際には,ぜひ今のものじゃない,より安全なものにかえていくという方向性をぜひ示していただきたいと思います。

 教育長はそういった辺もよくおわかりだと思うんですね。特に,リサイクルについては,我々リサイクルという言葉を使いますけれども,恐らく教育長さんの本職かどうか知りませんが,そのお仕事の関係では恐らく輪廻という言葉を使われるんじゃないかと思うんですが,命というものはぐるっと大きな意味でこの宇宙の中を回っているもんだと,そういう恐らく哲学がおありだと思いますので,そうした哲学を,ぜひ教育の場でも生かしていただきたいと,このようにお願いを申し上げまして,2回目の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

◎市長(安宅敬祐君) 羽場議員の再質問に対しまして御答弁申し上げます。
 とにかく紙のリサイクルルート,リサイクルの輪を完成するということが重要でありまして,回収だけではいけない。昨日大下議員の御質問に対しまして,報奨金を上げることを検討すると申し上げました。その場合に,今度は今おっしゃったような趣旨も踏まえて,町内とか回収団体の御理解もいただかなければいけませんが,報奨金の一部でも現物支給で,消費をしていただくというふうなことができるかどうか,とにかくやってみたいと考えております。
 以上でございます。

◎総務局長(橋本豪介君) 再質問にお答え申し上げます。
 まず第1点は,庁舎から出る生ごみを豚なんかの飼料にというふうなことでございましたが,実は以前この地下の食堂の残菜を豚の飼料として提供したようなこともあったというように聞いておりますが,実は水豚と申しますか,肉質が水っぽくなるということでおやめになったような経過があるようですから,これはもう一度検討してまいります。

 それから,研究は実践だという,これは確かにそのとおりでございますが,私どもはまずごみの日々の排出量,こういったものもアバウトでしかまだ押さえておりません。そういったところから研究,調査を進めてまいる,そういうことでございます。

◎保健福祉局長(角田誠君) 食器の安全性についての再度のお尋ねでございます。
 現状については,先ほど申し上げたとおりでございますが,御指摘のように,今後買いかえをいたします際には,代替製品は何がよいのかということがそれぞれの施設によっても違いがあろうかと思いますが,そういうことも含めてより安全なものにかえていくという方向で検討をしたいと思っております。
 以上でございます。

◎教育長(戸村彰孝君) 哲学の問題はさておきますが,「大河の一滴」の五木寛之さんの本は今大変読まれておるという御紹介がきょうもありましたが,あの一滴が川になって,海へ注いで,またこれが雨になって我々のところへ水として落ちてくるという一つの生態系を人生の中でいろいろ取り上げておりまして,学ぶべきことの多い内容を持っておると私も今読んで思っておるところであります。
 常々思っておりますのは,いろんな廃棄物の処理の仕方によりましては自分たちにそれが全部該当して返ってきているという文明の進み方というのは,これは相当努力をして正さないといけない。
 身近なところであるということになりますと,家庭そして学校ということになると思うんですけれども,家庭も都市化の真っただ中にあるところではなかなかそれができないということでありまして,子供たちに岡山市でできることはやはり学校が一番身近なところかなと思っております。現実的にコンポストは非常に有効でありますが,量的には大量の処理ができないという欠陥も現実にあるわけでして,そういう中でも工夫をいたしまして,勤労体験とのかかわり合い等を重視しながら,その問題についての対応を有機的に関連させてやれば,子供たちも物を大切にすること,そしてそれがまた新しいものを生み出すことについての大きな教訓を得るのではないかと思っておるところでございます。御支援をいただきたいと思います。
 以上です。


1998/06/17

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