1998/03/03 |
平成10年 2月定例会-03月03日
平成8年度岡山市一般会計歳入歳出決算について
健寿会問題の真相解明と結びつくとは思えないのに決算が議会の多数で不認定に
法的拘束力はないが入居者・家族・現場職員の動揺が心配
議会は昨年度(8年度)の決算を不認定にしました。この決算に健寿会への支出が含まれているからとするものですが、これには疑問が残りました。
これまでの例では、法律や条例違反があったときでも委員長の報告の中でこれを指摘するのに止まっていたのに、唐突な感じでした。また、監査委員の姿勢が問題だとかいう委員もいましたが、これは、議会から二人も監査委員を出しているのですから、議会の責任も論じられなければなりません。
なにより、健寿会の疑惑といってもすでに辞めた理事の話なのに、今の健寿会が悪いと決めつけるのは冷静な判断とは言えません。 私は、北浦に健寿会の経営する特別擁護老人ホームなどを訪ね、責任者の話を聞き、施設も見させていただきました。入居者やそれを介護している現場の人のことを考えたら、単純に「健寿会=悪者」論に与するわけには行かないと確信をして、決算には大下隆章議員と共に認定に賛成をしました。
この背景には、安宅市長を攻撃するためには手段を選ばない勢力の謀略だとか、差別問題があるとか、という解説もあります。私は福祉の現場をどうみるか、弱い立場に置かれた人間を政治がどう助けるかの問題だと思っています。
◆(羽場頼三郎君) 一般会計決算審査特別委員会における審査の経過並びに結果についての御報告がございましたので,これについての質疑をさせていただきたいと思います。
今回の質疑に当たりまして,決算の不認定に対してどうすべきか,大変私も考えたところでございます。委員会では全会一致でございますし,また議会で100条委員会を設置いたしまして,その委員会の結論という重みもございます。
また同時に,病気のお年寄りの老人ホームなど,そういったことをやっている多くの方々,行政の担当者の苦労ということも考えればわかります。不認定までにすべきじゃないのじゃないかと,一方では思うわけですが,最後の踏ん切りがなかなかつかない。そこで決算とは何かとか,また福祉とは何かということで,改めて考えさせていただきました。特に,これから高齢化社会を迎えるに当たって,在宅介護でありますとか,また施設のあり方とか,そういうことが重要な課題になってくる。そうしたときに,政策的な判断や,政治的な判断が個人とどのようなかかわり合いを持ってくるのか,そこで考えを深める必要があるというふうにも思ったわけでございます。
今回の決算で問題とされましたのは,健寿会という社会福祉法人ですが,その法人の経営に当たる理事でありますとか,実際の運用をしている現場の職員,また入居者とか利用者とか,そういった方々の顔を私は見てから判断すべきじゃないかと思いましたので,実は昨日その健寿会を訪ねてみました。今まで,訪ねたことがなかったわけで,見たこともなかったということを申し上げるわけですが,その健寿会が実際に本当にどうなのかということで,私の判断の材料にもしたいというふうに思いました。
玄関に着きまして,この訪問の意図を告げたわけですが,そこでは大変警戒を──警戒というんでしょうか,けげんな顔をされました。そして,非常に今取り込んでおるからちょっと話もできないということを言われたわけですが,私もそれはそうかなと思いました。確かに,今この法人の経営について調査をし,場合によっては責任を追及しようという市議会の動きがあるわけですから,その市議会議員がやってきて,突然話を聞かせろとか,施設を見せろとか,こういうことを言うわけですから,これは戸惑われるのも無理もないなと思ったわけですが,私の方も訪問の意図をちゃんとお話をいたしまして,実情について責任者から話を聞く機会をいただきました。
また,さらに率直な意見もいただきました。そこで,どういうことを言われたかと,私が今強く耳に残っておりますのは,利用者の利益とか権利を守りたい,これがなければ福祉ではないと,こういう言われ方をされました。確かにそうだなと思ったわけですが,この健寿会では特別養護老人ホーム,またデイサービス,在宅介護支援センター,さらにケアハウスというのを,同じ建物の中で運営をいたしております。
特別養護老人ホームというのは,常に介護が必要で,寝たきりとか痴呆とか,そういった方々が食事や入浴とか排泄とか洗濯とか,こういったサービスを受けられておりますし,またその他の福祉サービスが行われていると,そしてその中で話を聞いたわけですが,特別養護老人ホームは50人の定員で,今満床だそうです。岡山市も600人を超える待機者がおられる。その中で50人の方がここで実際に生活をされてるということがございましたので,その施設の方の話でも,そうした多くの待機者の中で,50人を受け持っているということを言われまして,なるほどなと,そういう方々のお世話もなかなか大変だと思いました。
そして,ショートステイとかケアハウスとかということがございましたので,そのケアハウスの中からなかなか出られないということがございましたので,ケアハウスに入るつもりであっても,それを途中でやめる方がたくさん出たということでありました。
それを聞きますと,私も1つ思い当たることがございまして,突然に頭の中に浮かんだのが,水俣でつくられているアマナツです。この水俣のアマナツは,なぜ問題になったかといいますと,水俣病があって非常に海での生活ができない。そういうことでそれだったらアマナツをつくって売ろうということでしたが,そのアマナツがなかなか売れない,それは水俣でつくられたからだということが大きな原因でありました。水俣でつくられたアマナツを食べると水俣病になるような,そういう感じがするということがありました。それでは,そういうミカンをつくっている方々の生活が成り立たない,それだったらそのことをわかってアマナツを買おうという消費者がいることによって,皆さんがこの生産を続けられるということがありましたので,実はそのことを思いまして,そういった健寿会が運営する施設に入ってる方々も相当な心配をされる,またその家族の方も心配をされているなというふうに思いました。
そこで,私もさらにお話の中で,困ってる人を目の前にして逃げ出したくなかったという現場の責任者の言葉を聞きました。福祉というものはなるほどなと,そういうところにもあるのかなと思いましたので。
○議長(花岡薫君) 質疑に入ってください。
◆(羽場頼三郎君) はい。そういった声を聞かせていただきましたので,なるほどそういうことも私の考えの中に入れて,ひとつこの決算の認定に当たりたいというふうに思います。私も無所属でございますので,会派から出ております議員の方から事情を聞く機会もございませんし,また委員会の空気も直接には伝わってまいりません。
そこで,1点だけお聞きしたいと思います。
先ほど,この報告もございました。監査体制のあり方がこの決算不認定の原因の1つとも書いた新聞もございましたし,またそういうことを複数の方にもお聞きしましたら,実はそういうところもあったんだというようなことも聞きました。そこで,監査委員が原因だという方と,そうでない方がおられるということでございますので,そこにつきましては1つお聞きをしたいと。監査委員の姿勢というものが決算の認定にどのように関係をしたのかということをお聞きして質疑を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
○議長(花岡薫君) 一般会計決算審査特別委員長の答弁を求めます。
◆(太田稔君) 羽場議員の質疑にお答えいたします。
監査委員の姿勢が,決算の認定にどのように関係したのかという質疑でございますが,今回の健寿会問題については,監査委員の姿勢と監査体制が問題となり,論議があったということは,先ほどの委員長報告のとおりでございます。
なお,不認定の理由については,先ほどの委員長報告のとおりでございます。
いずれにしましても,本決算は全委員が決算の趣旨にのっとり審査いたしましたこと及び100条委員会の調査報告を受けた議会決議を重視して,全会一致で不認定とした結論を得たものであります。
1998/03/03 |