1997/12/10

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平成 9年11月定例会-12月10日

分かりにくいが重要な行政手続条例

羽場頼三郎 助成要綱に基づく申請への応答義務についてはどうか。

□当局(総務局長) 義務ということではないが、原則的に同等の取扱となっている。

羽場 標準処理期間は、迅速かつ公平な行政運営の目安を示すと同時に、住民にとっては諾否の決定がいつなされるのかについての予測可能性を確保するためのものであるなら、なぜ努力義務にとどまるのか。

□当局 必ずしもすべて標準が定まらない場合も有る。原則は決めるということだ。

羽場 国が行う行政指導と岡山市が行うものとは基本的なものが違う。枠をはめてしまうとかえって市民の立場に立った行政がやりにくいところが出てくるのではないか。

□当局 そのために、指導の継続の規定と公表の規定を置いた。

羽場 行政の公正さと透明性確保のための条例だ。市のすべての機関で「行政が変わるのだ」という意識変革をしてもらいたい。職員の意識啓発のために研修などをするのか。

□当局 その方向で考える。


◆(羽場頼三郎君) それでは,質問をさせていただきますが,人に対する評価というのはなかなか難しくて,面と向かって評価する場合にはぐっと持ち上げて,それからドスンと落として,ちょっと持ち上げると,こういうふうにすればいいんだそうですけれども,それでそういうふうになるかどうか,きょうはちょっとやってみたいと思いますが。(笑声)うまくいきましたら,またお願いいたします。

 午前中はこちらの答弁席の方にも女性の方が4人もいらっしゃいまして,選管,それから教育委員会,また先ほど就任された代表監査の小田さん,それから古南参与と,こうおられました。私が議員席に座った当初の感想でですね,議会の方には女性の議員もおられますけど,なかなか当局側に女性の方がいらっしゃらないので,女性の登用が進めばいいなと思ってたんですが,最近こういうふうにふえてきたということはいいことだと思います。

 また,県の方は女性の副知事さんがいらっしゃるようですが,どうもしかし2人のところ3人にしたりして,本当に財政的な危機に陥っているのに大丈夫なんだろうかなと,そんなパフォーマンスだけでやってていいのかなという気がしますが,市の方はそういう意味からすれば有為な人材を採用していると,そういうことで非常にいい傾向じゃないかと思います。

 せんだって私のところに東北の方から新聞記者の方が訪ねてこられまして,東部クリーンセンターの問題についてちょっと話を聞きたいということでありました。というのは,岡山市のこの清掃工場の入札に前後いたしまして,福島県のいわき市の方でやはり同じような清掃工場の入札が行われまして,たしか1日か2日違いだったんですね。その福島県のいわき市では,大体の日量が390トン,岡山が東部クリーンセンターは450トンですが,日量390トンで,これは三菱重工さんが落とされたようですが,幾らで落札されたか。215億円です。岡山が日量450トンで129億円ですから,いかに岡山が安くてですね,このいわき市の方が高かったかということが向こうでも話題になりまして,本当にそんなことがあるんだろうかというようなことで取材に来られたわけですが,取材に来られて担当の方などに話を聞いて,それから私の方に来られたんですが,そのときおっしゃるのに,市の担当の方はこの結果に非常に自信を持っておられたと。市の姿勢として,ちゃんとした入札を行っていい仕事をしようと,こういう意気込みがあれば,こういった価格で事業ができるんだというふうに言われたと。大変岡山市はいいですねと,こう言われたんで,私も非常にうれしくなりました。

 ついでにもう一つ申し上げれば,実は昨日夜中に電話がありまして,自分の近くに非常に高層住宅ができて問題だと,これについて市の方で何とか打つ手はないのかということを言われまして,しかしなかなかこれは難しいと,建築確認というのは,特に国の機関委任事務ですから,建設省の意向というのが非常に表に出ますのでなかなか難しいと。住民の意思はどうやって反映されるんだというようなことを,いろんなお話をされたりした中で,実は岡山市は例えば暴力団の事務所の進出については建築確認を保留すると,そういう形でストップをかけているんだというようなことを申し上げましたら,そんなことをやってるのかと。そんなことを岡山市がやっとると思わんかったと。それは非常に誇りに思うというようなことを言われましたので,そういった岡山市も全国に誇れるようないろんなことをやってきた,そういう意味では非常にいいんですが,さあ,ここでですね,いよいよきょうの本題であります質問の行政手続条例の方に入っていきたいと思いますが,きょう質問通告をいたしておりますが,実はこの質問通告の中で後の方に,今回2番,5番,6番については,これはまた次回に譲ることにいたしまして,この行政手続条例について掘り下げてみたいと思います。

 さきの9月議会でこれについて議論をしたわけですが,時間切れで途中で終わっておりますので,その続きからということになろうかと思います。その際,総務局長の方から,「横出しとか上乗せとか,そういうふうな立場に立っておられるというふうに考えられる兼子先生とか,椎名先生の書かれた行政手続条例の制定というふうな手引きがございますけれども,そういう立場に立った先生方の本の中でも,計画の範囲というのは非常に難しいとか,あるいは利害関係者の範囲の特定が非常に難しいというふうなことの前提に立ちまして,1行だけちょっと引用させていただきますと,計画策定手続の研究につきましては,外国の制度や実態の紹介的な研究などが中心で,日本の実態に即した研究成果というのはまだ十分ではないように感じられる。したがって,今すぐ行政策定手続を行政手続条例に盛り込むことはかなりの問題があろう」という部分を引用をされております。ちょっと済みません,引用の部分が長くなって申しわけないんですが,こういうことで横出しとか上乗せのというのは非常に消極的な見解を述べられました。

 私の質問をした趣旨が計画策定にのみ,この横出しとか上乗せをやるべきだと,こういうふうにとらえられていたとしたんであれば,非常に私が舌足らずだったというふうに反省をしなければなりませんけれども,しかしこの一部をもって,当局の方が今回の条例をつくるに当たり,横出しとか上乗せに消極的だったということであれば,私は問題だと思います。今回の条例というのは,あくまでもこれは市民のためのものでありますから,また行政のあり方を問うものですから,本来なら市民の側から突きつけるような内容の条例であります。行政が自分の方で出すわけですから,自分で自分に対してなかなか厳しくなれないのは当然ですから。当然でありますけれども,このことを考えたらですね,行政にとってぐさっとくるような,そういう内容の条例案を出していただければ,私もこれはもう拍手拍手ということなんですが,どうもそういう感じがしない。そこで当局の姿勢を明らかにしていきたいと思います。

 同じような趣旨で既にもう何人かの議員さん,則武議員さんも質問をされておりますので,多少細かくなる部分があるかもしれません。わかりにくいところについては,もう本当にお許しをいただきたいと思います。

 先ほど総務局長の方が引用をしたと思われる本なんですが,これだと思いますね,行政手続条例の制定の手引きですから。実はこの本にはちゃんとこういうふうな条例をつくったらどうかという見本がついておりまして,そこの見本のところにも,第7章にこの第42条から第47条まで行政計画というような章を設けて,ちゃんと一応つくってあるんですね。だから,確かに難しいのは難しいけれども,できないというものじゃないんですね。しかし,この本の冒頭にも実はこういうことを書いてあるんですね。「行政手続法にならった条文構成の手続条例をつくるだけでも,全庁的な自治体行政手続きの見直しになるという大変さがあろう。しかし住民と地域に直接責任を持つ自治体の透明・公正な行政手続としては,行政手続法をこえた上積み・横積み条例を検討していくことが,住民の期待に十分に応えるゆえんではないだろうか」と,こういう前提でこの本が書かれておるわけですね。

 そしてまた,私は先日大阪の方で自治省の方の,この地方行革を担当をしている方の講演を聞く機会を得ましたけれども,そこでは,国は地方自治体に対して,その自主的な動きを期待をしている。地方分権を大いに進めていただくように配慮をしているつもりだと。国としてはやってもらいたいんだと。もう材料はあるんだから,やるのは,これはもう岡山市なり地方の自治体の責任だと,こういう言い方をされておりました。それぞれの都市で,地域の実情に合わせた特色を出していいということは当然ですけれども,もしそういうことにならないんだったら非常に歯がゆいんだというような,そういう口ぶりをされておりました。

 どうも見てみると,条例の構成もほとんど実はこの行政手続法と同じような構成で,条文をとってみても,ほとんど言葉の使い方がもう同じというところを指摘をせざるを得ないと思います。ちょっとだけ,長いですからもうちょっとだけにしますけどね,例えば法律の第5条の方ではですね,「行政庁は,申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準を定めるものとする」と,こういう書き方をしてるんですが,同じように,もうほとんど寸分たがいません。今回の提案されている条例案の第4条では,「行政庁は,申請により求められた許認可等をするかどうかをその条例等の定めに従って判断するために必要とされる基準を定めるものとする」。つまり,法令というところが条例等に変わってるだけという感じですね。そういうことで,丸写しにするような条例案で,先ほど申し上げたように,本当に住民の立場に立った条例ができるのかどうかというのが非常に疑問だと思います。

 そこでこの中身に入るわけですが,例えば助成をする要綱というのがありますね。助成要綱に基づく申請への応答義務という部分ではですね,本来なら行政の内規である要綱に基づいて,助成金の交付や社会福祉的なサービスの提供については,その決定が行政の処分と言えるかどうかという議論もありますが,岡山市としてのこの自治政策として,組織的・制度的な仕組みであり,給付などが正式な決定措置である限り,申請権に対する保障がなされるべきだと。要綱によって住民が申請を行う制度を持っている自治体では,この申請に行政が応答する義務があるということを条例で明文化して,住民の申請権を手続的に保障するべきじゃないかと,こういうふうに言われておるわけですが,岡山市はどうなっているのかということをお聞きをいたします。

 それから,問題になっております審査基準ですが,これについては,もう公表の意味については則武議員の質問に答えられましたので,審査基準そのものについて一応お聞きをしたいと思います。

 利益処分の申請の審査基準の制定が岡山市に原則的に義務づけられている趣旨というのは,恣意的な判断で処分をすれば,裁量権の濫用になってしまうんですね。そこで違法なことになるので,公正な行政をするためにはあらかじめ基準を定めておこうと,こういうわけです。ですから,具体的にやはり基準というのは定めなくちゃいけない。その具体性というのはどういうふうに考えておられるのか,どういうふうに保障をちゃんとされておられるのか,お聞きをします。

 それともう一つ,標準処理期間というのがありますね。これは条例に基づく住民の申請に対して,市は本来なら相当の期間内に何らかの処分,決定をしなくちゃならないとなってます。もしやらなければ,不作為の違法状態になります。で,標準期間というのはそうじゃないんですよね。相当期間と全く同じじゃないんですが,やはり恣意的な申請の放置──つまり行政がこんな申請ほっといてやろうとかいうようなことをやっちゃいけないし,また行政指導中であるということを理由とする審査とか決定のことさらな遅延を防止をする。諾否の決定については,もう迅速かつ公平に行うというその行政運営の目安を一応示しておく必要がある。申請をする住民にとっては,いついいと言われるのか悪いと言われるのか,これについて予測の可能性,これを確保するためにこの標準処理期間というのが定められるわけです。ですから,通常の場合だったら,大体何日なら何日間ぐらいでできますよと。2週間なら2週間,山見積もっても3週間ならできますよというふうに定めるのがこの標準処理期間ですから,そういう考え方からすればですね,先ほど申し上げましたように,相当期間の法律的な効果を生じるような相当期間とは違うんですから,行政の方で標準処理期間というのを必ず定めることにしても,特段不都合はないと思います。申請審査において,この事実関係の認定に多少難易があるとしても,あくまで標準なんですから,これを私は努力規定にする必要はないと思います。必要があるんだとすれば,どういうような場合に必要なのかと。さきの則武議員の質問に対しても,具体的なことはなかなかお答えにならなかったような場合もあったりしましたけども,できる限りこれも具体的に明らかにしていきたいなと思います。

 それから,標準処理期間というのは,これ経過しても処分,決定がなされない場合があり得ます。そういうときには,申請者としてはなぜそんなに標準処理期間が経過したにもかかわらず,ちゃんとした行政の答えが出てこないのかと。これ説明を求める権利というのが私は必要じゃないかと。それをちゃんと条例上明記しておくべきじゃないかと思いますので,これについての考え方をお聞かせください。

 それから,標準期間を設定する行政の内規としてはですね,どういう形で標準期間を設定するのか。規定の形にするのか,要綱の形にするのか,告示という形にするのか,さらに別の方法で考えられているのか,これは形式的なことですが,お聞きをいたします。

 それから,経由機関に申請が届いたときには,その経由機関から,1つのこの機関でも,こちらから通ってここを来て,こういうふうに来るという場合,そういうときにはその経由機関からの標準処理期間を定める必要がありますけれども,これはどういう形でこの表示をされるのか,お聞きをいたしたいと思います。

 公聴会の開催についてですが,申請に対する処分の中にも,これは公害とか環境破壊をもたらし得るような建築とか営業の許可とか公共料金の値上げの認可のように,そのいいとか悪いとかという決定が直接の名宛人にとっては利益である。しかし他方では不利益をこうむる。こういったような場合には二重効果処分という,そういう言葉を使うらしいんですが,この際には利害関係第三者の権利や利益にも配慮することが必要だし,その意見主張の場を組み入れることが公正な行政手続を進めるために重要であると,こういう指摘がありますので,その意味からすれば二重効果処分における利害関係第三者の法益保護を重視すべきでありますけれども,この規定では不十分じゃないかと。また,その他適当な方法とありますが,どういったものが考えられるのか。

 また次,処分の基準についてですが,これは第11条で「行政庁は,不利益処分をするかどうか,又はどのような不利益処分とするかについてその条例等の定めに従って判断するために必要とされる基準を定め,かつ,これを公にしておくよう努めなければならない」と,こうなっておりますが,不利益処分ですから,これは住民にとって不利益な処分を受けるわけですから,これは処分を受ける方にとってはどういうことをやったら不利益な処分を受けるのかという意味で,予見可能性がちゃんと確保されていなければならない。どうも言葉が非常に難しくなって申しわけないんですが,私はここを,これも努力義務になっているんですが,努力義務はちょっとおかしいような気がしますね。そういう不利益な処分を受けるというのは,これは刑法がそのままストレートに適用されるかどうかは別として,罪刑法定主義的な考え方からすれば,こういうことをやったらこういう不利になりますよというのがわからなくちゃいけない。そういうことからすれば,これは必ずちゃんと規定しておるということをやった方がいいんじゃないかと思いますが,なぜそうなってないのか。

 それから,聴聞の際,送達手続でファクシミリというのはどういうふうに扱われるのか。また,規則では明記されるのかどうかということをお聞きをします。

 それから,多数当事者が共同で手続に関与する場合,これもなかなかこういう言葉遣い難しいんですが,当事者間の互選によって,みんなたくさんの人がこの手続に関与する場合に,全部が出てくると大変ですから,その中で互選をして1人総代を置いて,その総代に任すと,こういうやり方が非常に当事者の便宜のためにはよいと言われてるんですが,この総代の制度を置くという考え方はないのか。

 それから,「当事者及び当該不利益処分がされた場合に自己の利益を害されることとなる参加人は,聴聞の通知があった時から聴聞が終結するまでの間,行政庁に対し,当該事案についてした調査の結果に係る調書その他の当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる」と,こうなってるわけですが,ここには列挙してありましてですね,文書の閲覧者が限られております。文書の閲覧権というのは,それに対してどういうことを言われてるのかということをわからせるようにするわけですから,反対利害関係というのは外されてるわけです。行政側の証拠的裏づけが不利益処分名宛人との癒着関係から,不備・不十分なものであってはならないし,また行政手続法が反対利害関係人にも行政庁職員に対する質問権を認めている,こういう趣旨からすれば,行政監視役的な意味合いと不利益処分確認的な証拠を補強する意味合い,両方からもこれを認めるべきだという指摘があります。なぜこれが外されているのか,お聞きをしたいと思います。

 それから,済みません,本当にいろんな法律用語的なものが次から次に出ますので,非常に私もそしゃくするのは難しいし,また聞かれている方も難しいんじゃないかと思いますが,あえて次に進みます。

 弁明の機会の付与の方式。「弁明は,行政庁が口頭ですることを認めたときを除き,弁明を記載した書面を提出してするものとする」と。書面でやれと言ってるんですね。しかし,この書面と口頭とを比べた場合には,まず第1に口頭の方が鮮明な印象で当事者の真意をつかみやすい。次に,質疑応答により争点の整理,明確化にも役立つ。3番目に,国民の審査参加意識を高める。4,書面審理が机上の作業に終わるのに対して,一定の審理場の設営等により庁内の緊張感をもたらすと,こういうメリットが指摘をされております。そういうことからすれば,行政庁の都合じゃなくて,当事者が書面じゃなくて口頭がいいと言えばいいんですから,その当事者の便宜のための口頭による弁明を認めるべきだと思いますけれども,どうでしょうか。

 さて,行政指導についてですが,そもそも行政指導というのは,これは国と岡山市が行うものとは当然違います。基本的なところが違います。国はある意味じゃ法律上の背景といいますか,権限といいますか,そういうものを持ってやるわけですが,市の方ではそうじゃない行政指導ってかなりある。苦肉の策で行っているという行政指導がかなりあるわけですね。今,国際的にも規制緩和が求められているのは,透明性が低い,例えば1984年の最高裁で示された通産省の石油業界に対する行政指導が絡んだ値上げの合意というのはやみカルテルだと認定された,こういった事例,こういうようなものが問題でありましてですね,建築法規の裏をかいたような迷惑建築を抑えるための市民の立場に立った行政指導,これとは全然レベルが違うと思います。

 その意味で,第34条で行政指導の事実の公表を明記したというのは,これは評価をしたいと思います。また,この行政指導の継続ということについても同じですが。この都市環境行政という分野では,その都市固有のルールに基づいて,建築行為等の警察的土地利用規制を行うことは岡山市固有の権限であって,国の法律の授権を待って初めて可能になる事柄ではないと思いますので,この観点から見ると,行政手続法で除外をしている三面構造的関係は,この条例ではどうするのか。

 行政指導の明確性のための文書交付,行政庁との力関係では,文書を交付しろという請求ができるわけですが,しかしなかなか住民の方から文書にしてくださいと言ったって立場は弱い。むしろ文書交付を原則にして,住民の方から文書じゃなくてもいいですよと言えばそうじゃないようにすべきじゃないかと思いますので,これはもう原則とあれとを逆にするべきじゃないかと思います。見解をお伺いします。

 それから,指導を行った理由の提示を,これは必ずこういうことでやったんだという理由をちゃんと明らかにした方がいいんじゃないかと思いますので,これもお聞きをします。
 それから,適正に文書交付が行われなかったときにはですね,住民の側から文書交付を法的に求める道を開くために,文書交付は住民の請求権であるということを条例上明確にすべきではないかと思いますので,これについてもお聞きをしたいと思います。

 また,指導要綱,これの参加手続につきましてはもう既に質問が出ました。出ましたが,しかしどうも要綱についての手続が,これがはっきり明文化されていないと,市の行政の中の相当な部分が抜けることになりますので,これをなぜ規定しないのかということをもう一度お聞きをしておきたいと思います。

 それから,計画策定手続につきましては則武議員も鋭く追及をされましたので,またそれに対して研究するということでありますから,その結果を見守っていきたいと思います。

 先ほどちょっと引用もいたしましたが,総務局長も持っているこの解説書にはですね,先ほど引用された部分,この計画策定手続の条例化には困難が伴うという記述の後にどういうことが書いてあるかと言いますとですね,「自治体としても,単に先送りをするのではなく,この機をとらえ,積極的な研究を続けていくことを何らかの形でうたうべきである」。条例に盛り込んででもですね,この計画策定手続について,やるということをちゃんと入れるべきだと,こういうことを実は指摘をされてるので,私は意図的にじゃないと思うんですけど,総務局長がそこのところを読まれなかったので,私の方からつけ加えておきたいと思います。

 さて,事業評価システムについてですが,これも多くの方が質問されておりますので,私がお聞きをしたいのは1点だけです。だれがその評価をするのか。行政が自分でやって自分で評価するというんじゃだめですから,手前みそになってしまいますので,これは評価する主体ですね,主体が行政じゃなくて,あくまで市民だということを確認をしておきたいと思います。

 それからもう一点,民間委託を進める判断基準ということですが,これは同じく行政改革推進の中で,民間委託ということが1つのキーワードになってきております。確かに民間がした方が合理的だったり効率的な場合があると思いますけれども,やみくもに民間にすればよいというものでもありません。そこで一定の基準をあらかじめ設けておくことが,この行政改革というものを考える際にも,また行政の中身ということを考える際にも私は有効だと思いますので,例えば市民サービスの向上に資するものであるとか,経費の節減を図るとか,そういった判断基準を定めて,さらに範囲についても多量の業務を短期間に処理するものだとか,専門的な知識,技術等を要し,専門的人材を確保するのが困難なものだとか,こういった範囲も明らかにしておくということが必要なんじゃないかなと。北海道の旭川市とか大阪の泉南市でもそういう例が見られますので,岡山市としてもそうした民間委託を進める判断基準を作成してはどうかということについてのお考えを,提案を込めてお聞きをして,第1回目の質問を終わらしていただきます。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

◎市長(安宅敬祐君) 羽場議員の個人質問に対しまして御答弁申し上げます。

 事業評価システムの評価はだれがするのかということでございますが,まあ率直に申し上げますと,市民とともに,また私ども自身,また議会での審議というようなことになろうかと存じます。今,さらに厳しい財政運営を余儀なくされている中で,市民サービスの一層の向上を図っていくためには,事業の効果的な選択,あるいは予算の重点化などが求められるものと考えておりますが,この事業評価システムといったこのシステムの先進事例である欧米諸国では,数値を職員の努力目標とするとともに,その目標と結果を市民に示している例もあると聞いております。三重県で導入・検討されている例では,評価については各部局において行って,その結果の公表についてはまだ検討段階にあると聞いております。

 本市において事務事業の評価システムを検討するに当たりましては,費用対効果などの経営的な視点から,市民の便益を図ることを基本的視点としておりますが,市行政のどのような分野でどういった指標が成果の測定に有効であるか,またどうすれば市民の皆様方にわかりやすい指標となるかなどの検討を行うとともに,これらをどのように市民に示していくかにつきましても,いろいろこれはまだ取りかかったばかりでありますので,いろんな観点から研究してまいりたいと考えております。

 それから,民間委託について,一定の基準をあらかじめ設けておくことが有効なのではないか,他都市でもやっている事例があるというお尋ねでございます。

 民間委託の推進につきましては,平成8年3月の「豊かでゆとりあるくらしをめざす市政懇談会」の答申での指摘や,それから同じ年の6月の岡山市行財政改革大綱の中にもありますように,委託が可能なものにつきましては,できる限り民間委託を推進してまいりたいと考えております。

 推進に当たりましては,公権力の行使にかかるもの,また公共性が損なわれるもの,あるいは市民サービスの低下を来すものなどを除いては,行政コストの効率化を図ることや,あるいは民間の持つ専門的な知識や技術を活用するなどの観点から実施してまいりたいと考えておりますが,事務事業の性格や民間活力そのものが,これはもうその年々で絶えず変化していることなどを勘案しまして,一律の基準を設けても,これはどうしても抽象的にならざるを得ないと考えておりますんで,基本的な考え方は,先ほどのどうしてもできないものは除いてですね,委託が可能なものは,あるいはその方がよりいいサービスができるというようなものはやるんだというようなことで,ケース・バイ・ケースで判断してまいりたいと考えております。

 なお,もう一つの御質問につきましては,担当局長の方から御答弁させていただきます。

◎総務局長(菱川公資君) 行政手続条例について,一連の御質問に御答弁させていただきます。

 まず,要綱に基づく処分についてでございますが,これは御質問にもありましたように,処分であるかどうか議論もあるけれども,正式な決定措置である限り,手続条例との関係でどうするかということでございます。

 要綱に基づく助成金や保育所の入所に対する福祉の措置につきましては,国の解釈の中では職権による措置であり,いわゆる申請に対する処分というわけではございませんので,対象外となっております。

 ただ,手続自体は許認可等を求める申請と外形的には同じような形で行われていますことから,基準等につきましてはできる限り条例の趣旨にのっとった運用に努めてまいりたいと考えております。

 次に,審査基準の裁量権の乱用とならないように,どういうふうに具体性を保障していくのかということでございますが,審査基準は許認可等を法令の定めに従って判断するための基準でございまして,許認可等の性質の許す限りにおいて具体化することが求められております。その場合の具体性の程度は,現在の条例等の中でも審査基準を具体的に定めているものも多々ございますけれども,それらを再度見直す中で市民にわかりやすくするとともに,現在以上に具体化できるよう努めてまいりたいと考えております。

 次に,標準処理期間の問題につきまして,一連の御質問がございました。
 標準処理期間につきましては,御質問のように事実関係の認定に難易差があるなど,設定が困難な場合があり得ることから,行政庁に課する義務の程度としては努力義務にとどめております。

 こうした例といたしましては,法に基づく処分では,河川法による土石等の採取許可とか,児童福祉法による児童福祉施設設置の認可等が考えられるところであります。

 また,標準処理期間は行政庁の行動規範として定められたものであり,標準処理期間を過ぎたからといって直ちに違法性があるということにはなりませんけれども,申請者に対しましては迅速な処理に努めていることが理解されるよう,審査の進行状況等の情報の提供に関する第8条の趣旨に沿いまして,適切に対応しなければならないものと考えております。

 同時に,標準処理期間の設定の形式につきましても,規程その他の内部法規という形式にこだわることなく,処理に要する期間を申請者等が知り得ることにより,申請に当たっての処理の透明性を図るという観点から,適切な対応──例えば窓口への簿冊等の備えつけ──に努めてまいりたいと考えております。

 また,申請の提出先としてあらゆる場合を想定することは困難なために,第5条では条例等により定められた法定の経由機関──例えば福祉事務所等が考えられますが──がある場合は,それぞれに要する期間を定めた上で,全体として処理に要する期間を明らかにすべき旨を規定しておりますけれども,法定経由機関でない出先機関──例えば支所等でございますが──での申請につきましても,条例の趣旨に沿った対応に努めてまいりたいと考えております。

 次に,公聴会に関連をいたしまして,利害関係者,いわゆる第三者の法益保護を重視すべきだが,これでは不十分ではないかと。あるいは他の適当な方法があるかということでございます。

 行政手続条例は,申請者と行政庁との間の関係を規律するという観点を基本に行政手続を整備するものであります。しかしながら,社会経済活動の複雑・多様化に伴い,市民生活に密着した行政がより一層求められるようになってきていることから,行政と申請者以外との関係の重要性も高まってきており,直接の申請者以外の方の利害にも配慮した的確な行政運営が必要となってきております。

 このため,申請者以外の者の利益を考慮すべきことが条例等に定められている場合において,許認可判断をより的確なものとするため,申請者以外の者からの情報収集が必要と判断するときは,申請者以外の者の意見を聴く機会を設けることに努めるよう規定したものであります。そのほか適当な方法としては,意見書の受け取りなどが考えられると思っております。

 次に,処分の基準につきまして,第11条関係でございますが,不利益処分の処分基準の作成がどうして努力義務にしたのかということでございます。

 処分基準の作成を努力義務にいたしましたのは,処分基準は一般に処分に関する行政庁の裁量が比較的広く,また処分の原因となる事実の反社会性や相手方の情状等個別の事案ごとにどう評価するかといった問題もあり,その性質上あらかじめ具体的な基準として画一的に定めることが技術的に困難なものもあるので,努力義務といたしております。

 また,処分基準の公表につきましても,基準を公表することによって脱法的な行為が助長される可能性も想定されますので,努力義務にとどめたものであります。

 しかしながら,条例の趣旨からいたしまして,合理的な理由がある場合を除きまして,基準の設定や公表は行わなければならないと考えております。

 次に,聴聞の方法としてファクシミリはどうかということでございますが,不利益処分を行うに当たって,相手方に聴聞による意見陳述の手続きをとるに当たり,相手方に予定される不利益処分の内容,不利益処分の原因となる事実,聴聞の期日及び場所を通知することになっておりますけれども,その送達につきましては,処分性のある文書には公印または契印を押すことになっており,原本の確認のためにも郵送による送達が必要と考えております。

 次に,多数の当事者の場合の総代制度の関係でございますが,当事者の代表者を選任する制度につきましては,平成元年の総務庁の行政手続法研究会の「行政手続法要綱案」等に盛り込まれていたものでありますけれども,行政手続法の制定に当たりましては,将来の検討課題とされたものでございまして,本市といたしましても今後の国の動向を見守ってまいりたいと考えている部分であります。

 次に,同じく不利益処分の手続に関連します第17条関係でございますが,反対利害関係人にも行政庁の職員に質問権があるんだから,反対利害関係そのほかにも文書閲覧権を認めるべきではないかということでございます。

 不利益処分について,反対利害関係人を含めた利害関係人──以下参加人というふうに法律では読んでおりますが──に行政職員への質問権を認めておりますのは,許認可等の取り消し,または資格・地位の剥奪など,当事者等の権利・利益に重大な影響を及ぼす処分を行う場合の聴聞手続において,あくまで処分を行うに先立ち,御指摘のような不十分な事実認定に基づくことなく,適正な処分の実施に資するために認めているものであります。

 一方,文書閲覧につきましては,こうした厳しい処分に対する権利のより手厚い保護を図るものとして,当事者と同様処分により自己の権利・利益を侵害される参加人に対して認めているところであります。しかしながら,第三者の利益保護の観点から,プライバシーの保護や企業秘密などに配慮すべき場合に閲覧を拒むことができることといたしております。

 次に,第26条関係の弁明の機会の付与でございますが,口頭を認めるべきではないかということでございます。

 弁明を行うときの事務手続といたしましては,原則として弁明を記載した書面を提出することにしておりますのは,弁明内容を明確にすること,あるいはその事務処理の上で合理的であることなどの理由によるものであります。原則といたしまして,書面を提出して行うこととしておりますけれども,口頭による手続も手続保障の観点からこれを否定する必要性もないため,当事者から口頭による弁明の申し出があった場合には,可能な限り認めるよう努めてまいりたいと考えております。

 次に,行政指導に関連をいたしますいわゆる行政,当事者,第三者というんですか,利害関係者というんですか,三面構造の関係をどうするかというふうな一連の御質問でございます。

 議員御指摘のように,申請に対する処分の中にも,行政庁,申請者,利害関係の第三者という三面関係でとらえるべき二重効果的な利害状況が多々あるところであります。こうした現状を踏まえまして行政指導を行うに当たりましては,市民生活を守る観点から,相手方が受ける不利益と公益上の必要性を比較衡量して,社会通念上正義の観念に反すると言えるような特段の事情が存在する場合には,必要な行政指導を継続することなどにより,公益の保護に努めてまいりたいと考えております。

 また,行政指導の明確性のための文書の交付につきましては,口頭で行った場合,相手方から文書の交付を求められれば,原則として書面交付しなければなりませんが,書面を交付する意義が乏しいと認められる場合などは,交付することとはいたしておりません。

 なお,行政指導の理由提示及び適正な書面交付が行われなかった場合の取り扱いにつきましては,さきの則武議員の個人質問に御答弁申し上げたとおりでございます。

 次に,いわゆる要綱案を作成するに当たっての公聴会とか作成手続でございますが,市民参加型の行政計画,行政立法に関する手続規定につきましては,さきの公明内田議員の代表質問にお答えしましたように,今後とも国の動向を見守ってまいりたいと考えておりますけれども,本条例の第33条において,複数の者を対象とする行政指導について,「市の機関は,あらかじめ,事案に応じ,これらの行政指導に共通してその内容となるべき事項を定め,かつ,行政上特別の支障がない限り,これを公表しなければならない」と規定しておりまして,当該要綱など行政指導が行われる場面が多数予見され,当該行政指導が類型化されるときには,行政指導の内容など行政指導を行う場合の基準について,あらかじめこれを指針として定めておくことを規定していることから,議員御指摘の要綱等についても行政上の支障がない限り公表するよう努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

◆(羽場頼三郎君) いろいろ御答弁ありがとうございました。

 ちょっと確認的な意味で再質問をしておきたいと思いますが,さきのその行政指導の手続についてでありますけれども,先ほど述べさせていただきましたが,第29条とか第30条のように枠をはめてしまうと,かえって市民の立場に立った行政がやりにくい,そういう場面が考えられるんじゃないかなと思います。市内の各所でワンルームマンションとか高層住宅の建設が近所の住民とのトラブルを起こしているような,そういう実情が多々ありますのでですね,建築前に住民とのコンセンサスを図るような説明会とか同意などを指導するということは,非常に私は意味が大きいと思います。今後,こうしたことの調整についてどのように考えておられるのかと。いっそのこと私は削除してもいいんじゃないかなという気もするんですが,または三面構造的な関係ということで除外するとか,そういった考え方についてもう一度お聞きをしておきます。

 それから,先ほどの要綱については可能な限り公表していくということを言われましたので,いいと思いますけども,行政上差しさわりがあるという言い方をされるぐらいだったら,行政上の差しさわりがあるような,しかし要綱が出てくるのもまたおかしいような気もしますので,ここはすべて公表という形で考えられた方が,つまりもう基本的には要綱も行政の中身ですから,それを公表しないというのはちょっとおかしい気がしますから,それは公表するのが当然という考え方でいっていただきたいなと思います。

 これについてちょっと御見解をお聞かせください。

◎総務局長(菱川公資君) まず,第29条,第30条の関係で三面構造的なものでいっそ削除したらどうかと,いわゆる行政手続の部分の削除ということを言われるのでございますが,今回の条例制定に当たりましては,基本的にはやはり先ほど御指摘がありましたように,手続法との一貫した体系ということで整備をしております。したがいまして,言葉使い等も努めるべきだというふうなところも大体あわせていっておるわけであります。

 ただ,しかしながらその行政指導につきましては,手続法どおりに条例化したのでは市民生活を守るという観点,あるいは公共の利益の実現を目指していくというふうなこれらの観点,あるいは今まで実施をしてきた行政指導の目的の達成に支障が生じかねないというふうな危惧等がございまして,継続とかあるいは公表という規定を設けておるわけであります。その中で,市民の自己防衛を期待する観点から,今申し上げましたような継続とか公表の規定を設けたところであります。

 したがいまして,これまでも行政指導を適正に実施してきたところでありますが,今後もこの本条例の規則の趣旨を踏まえまして必要な行政指導については,継続して行ってまいるという姿勢でございます。御理解いただきたいと思います。

 それから,指導要綱の公表ということでございますが,先ほども御答弁申し上げましたように条例第33条におきまして,複数の者を対象として行う行政指導等につきましては市の機関,あらかじめ事案に応じましてこれらの行政指導に共通してその内容とすべき事項等を定める。あるいは,そのことでございますので,すべてということに今ここではどれとどれとということではありませんけれども,行政指導上特別の支障がない限りこれを公表していくという姿勢でやってまいりたいと思っております。
 以上でございます。

◆(羽場頼三郎君) 最後になりましたが,この条例が持つ意味というのは大変大きいわけですね。この行政の公正さと透明性を確保するために,ある意味ではこの市のすべての機関で行政が変わるのだと,こういうような意識変革をしてもらいたいと思います。

 先ほど,申し上げましたモデル条例の中にも,実は第36条に条例の完全実施というところがあるんですね。市のすべての行政機関及び職員は,第1条に定める目的を自覚するとともに,条例の完全実施を目指して日常の執務,要領を整えるなどにより,市民の信頼にこたえるよう努めなければならないと,こういうのがあるんですよ。ですから,せっかく行政手続法そのものを写せとは言いませんが,ここのところもこの精神を生かしていただいて,今後こうしたかなり革命的な条例でありますから,市を挙げて職員の意識啓発のために研修,その他の努力をされるのかどうか,ここのところを最後にお聞きをいたしまして質問を終わらせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。(拍手)

◎総務局長(菱川公資君) 確かに,条例の制定の趣旨というのは,今議員の御指摘のように大変重要なものだというふうに考えております。

 また,職員がこの条例を十分生かしきるというんですか,十分わきまえて市民サービスに努めるということが大切だろうと思いますので,機会があるごとに研修には努めてまいりたいと思っています。


1997/12/10

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