一ヶ月半の長期休暇を無事に終えた、デュオとヒイロの二人は直ぐさまプリベンターに戻り、通常の勤務つき何事もなかったかのように、次々と仕事をこなしていった。
「期間限定の学生生活はどうでしたか?」
山のように積み上げられた書類に目を通すデュオに、カトルは温かいカフェオレを差し出し、休暇中の様子を訪ねた。
何気ない言葉にデュオは意味もなく狼狽し、飲みかけたカフェオレを吹き出した。
「今のリアクションは何なんですか」
反射的にタオルを手渡し、顔をマジマジと伺うカトルの姿に、デュオは事に経緯を説明した。
「多量のお酒を飲んで、ヒイロと口喧嘩をした挙げ句に、あの…ヒイロをレイプしたんですか。よく、ヒイロに殺されなかったですね」
「それは、俺も不思議に思ってるよ。始めは、酒の勢いと悪戯心だったけど、最近は授業のない時間帯や休日は、一つのベッドで過ごしていたからな。ところで、カトルは男同士の肉体関係は不潔だとか思わないのか?」
開き直って事の説明をし、デュオは自分の疑問をカトルに向けた。
「僕は同性愛は否定しませんよ。でも、一方的な暴力であれば、話は別ですが。ヒイロをレイプしたにも、それなりの理由があったのでしょ。そうでなかったら、ヒイロの代わりに僕が君に天誅を捧げてますよ。この場でね」
「それはそうだな。休暇を休暇と思わないヒイロにむかついて、任務以外で集中出来る事を教えてやったら、そんな、結果になったワケだよ」
「ところで、君の犠牲になったヒイロは?」
二人揃って現場復帰したはずなのに、まともにヒイロの姿を見ていないカトルが疑問を口にする。
「トロワと五飛を連れて、コンピュータールームに缶詰中のはずさ」
デュオの説明通りに、ヒイロはトロワと五飛の二人を連れて、コンピュータールームにその身を置いていた。
「休暇が終わったと思えば直ぐこの状態か」
「仕方ないだろ、休暇中はデュオに禁止にされた挙げ句に、このデータの入ったディスクを破棄されたんだ。遅れを取り戻すには、二人の手を借りて缶詰め状態になるのが、一番早かったからだ」
「休暇中に、何かあったのか?」
戻ってきた二人の様子の変化に、五飛は疑問を問い掛ける。
「…休暇中、酒に酔ったデュオにレイプされた」
五飛からの問いに何一つ隠しもせず答えた。
思いもしなかったヒイロの言葉に、無意識に五飛とトロワの二人は互いに顔を見合わせた。
「それでも、デュオには感謝している。感情のままに泣くことが出来たのは…デュオが側にいてくれたからだ」
呆れる二人にヒイロは笑みを見せて返した。
「この休暇で、吹っ切れたようだな」
刺々しい雰囲気が無くなり、感情表現が豊かになったヒイロの頭をトロワはそっと撫でた。
「この期に及んで子供扱いをするな。トロワ!」
「それが嫌なら、早く精神的にも外見的にも大人になれ。それが出来たら止めてやる」
「一日二日で可能なら直ぐに実行している」
終 話
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