光りの裏に影あり 影の表に光りあり
 
 静かな夜空の下、険しく茂った木々の間に、一つの影が降り立つ。
 腕の中で身じろぐ存在に視線を向ければ、硬く閉じられていた瞼が僅かに開かれる。
「…?」
「気が付いたようだね。気分は大丈夫かい。日番谷君」
 汗で額に張り付いた前髪を指で掻き上げ、気遣うかの様に名前を呼んだ。
 事を認識出来ていない瞳が揺れる。
「…?」
「無理に動かない方が良いよ。ここは、僕が尸魂界に居た頃、使っていた隠れ家の一つだが、この周辺には誰もいないから安心したまえ」
 その言葉に安心したのか、覚醒しかけた意識は、再び闇の中に落ちた。
 
※ ※ ※
 
「気が付いたかい。日番谷君?」
「なっ!?あ…藍…染…」
 意識の覚醒と共に感じた霊圧に驚き、目の前に差し出された水の入った竹筒を、日番谷は相手の手ごと弾き飛ばした。
「くっ」 
 僅かな反動に身体が痛みを訴える。
 樹齢数十年の大木に身体を預け、全身の痛みに耐えながら日番谷は、今は敵である藍染との距離を開けた。
「警戒するなとは、無理な話かな。すまないね。私がもっと早くあの場所に居て、彼らの初動に気付いていれば、無粋な行為を止める事が出来たのに。そうなれば、君にこんな思いをさせずに済んだかもしれない」
「…えっ」
「……かなり記憶が混乱している様だね。覚えていないのかい? 君は総隊長命令により、自隊の隊員数名を連れ虚退治に向かった。そして、負傷者を数名出したものの任務を遂行した」
 藍染の言葉に、日番谷は記憶の糸を辿り、自分の身体に目を向ける。
 強い力に引き裂かれ、袖を通しただけの死覇装と隊長羽織。
 そして、無意識に握り締めた両手に刻まれた手痣に、日番谷は悲鳴を上げた。
「…!…い…やっ…」
「落ちつきなさい!」
 突然取り乱した日番谷を、藍染は樹木に押し着ける。
「隊長の地位にあっても所詮は子供でしかないか。君は負傷した隊員に襲われたんだよ。虚に身体と心を奪われたといえど、信頼していた部下に嬲り者にされた気分はどうだね」
 耳に届いた言葉の意味と藍染の腕の強さに、日番谷の表情が恐怖感に染まる。
 震え出す日番谷の両腕を押さえ付けた藍染は、ボロボロになり殆ど役目の無い袴の帯を振り解こうとする。
「やっ…やめ……ろ。嫌だっ」
 藍染の行動に日番谷は、拒絶の言葉と共に唯一自由の利く足で抵抗を示す。
「おっと、危ないなぁ。それだけの元気があるなら、もう少し無理をさせても大丈夫かな?」
 易々と日番谷の足を払い除けた次の瞬間、膝上近く迄ズレ落ちた袴を斬魄刀で切り刻んだ。
 幼い身体に刻まれた無数の凌辱の跡。
「おやおや、随分と激しく可愛がって貰った様だね」
「やっ…」
 外気に晒された素足を伝い落ちる物に、日番谷は短い悲鳴をあげ、唇をきつく噛み締めた。
 俯き力なく震える日番谷の手の戒めを解いてやれば、糸を失った操り人形の様にその場に座り込む。
「子供の君には刺激が強過ぎた様だね」
 座り込んだまま震え続ける日番谷の足を掴み、力任せに引き吊り寄せる。
「やっ…」
 突然の出来事に日番谷は対処も出来ず、再び両腕を戒められ、砂埃の舞う固い大地に組み敷かれて、藍染の眼下に屈辱的な姿を晒す事となった。
「初めて複数の男を相手にした気分はどうだね? 恐怖のあまりに声も出ないのかい」
 見下ろした幼い日番谷の目元には涙が溜まり、口元は恐怖の為か言葉を発する事も出来ずにガタガタと震えていた。
「でも、これなら良い声を聞かせてくれるかな?」
 言葉もなく怯える日番谷の鎖骨から顎先へと指で撫で上げ、袖を通しただけの死覇装の隙間から手を忍び込ませる。そして、内股を撫で下ろして、その奥に隠れた秘所に指を宛がう。
「あれだけの事をした後だから、指ぐらいなら慣らさなくても大丈夫だね」
 ”くすり”と、笑った藍染は、指先に感じた僅かな物を指に絡めて、緩く閉じられた秘所へと指を捻り込む。
「やっぁああっ……」
 衝撃の強さに日番谷の身体がビクンと震える。
「指に絡み付く体液の量はかなりの物だね。だけど、数刻に渡って陵辱されていた割には、此処は緩んでいないのは大した物だよ。日番谷君」
 日番谷を陵辱する指を一本から一気に三本へと増やし、縦横無尽に内壁を擦り上げる。
「ッやっぁああっ……離せぇっ……」
 藍染によって身動きを封じられた両腕に、日番谷の渾身の力が込められる。
 所詮は子供の身体で削ぎ落とされた体力、大人である藍染の腕力と体力の差に敵うわけも無く、ボロボロと零れる涙が日番谷のこめかみを伝い落ちる。
「……離せっ……藍染っ……やっ…やめ…」
 藍染の指に翻弄される幼い身体。
 短時間で身体に刻み込まれた、淫乱な精が呼び起こされる。
「も……やだぁっ……藍染っ……離せぇっ……いやっぁああっ……」
 一切触れられる事の無かった日番谷の精が、儚い悲鳴と共に弾けた。
 次の瞬間には、あれだけ拒絶を示していた日番谷の身体からは、全ての力が消え失せていた。
「此処を指で嬲られただけでイってしまうとは、ほんの数刻の間に、自我を失ったあの者達に調教されたという訳か」
 弾けた幼い精を指に絡め取った藍染は、弛緩し浅い呼吸を繰り返す日番谷の唇に塗りつけた。
「ならば……ここから私色に染め直せば良いだけの事だ」
 藍染の言葉を薄れて行く意識の片隅で聞き、日番谷は完全に意識を手離した。
         序幕 了