待ちぼうけ。



雨、である。

早朝から降り出した雨は
昼も過ぎようという今もまだシトシトと降り続いていて
オレはそれをベッドに転がったまま、ぼんやりと眺めていた。

家の中には誰もいない。
トライローは小一時間ほど前に
クンダリーニと共に
調和神護衛のバイトへと出かけていった。
オレも行きたかったんだけどなあ。

『冗談じゃないわよ!寝てなさい!』

鬼のような形相で叱られて、
大人しくベッドへ戻った理由はただ一つ。
古傷が、痛い。

(あーあ・・・)

今頃、皆死に物狂いで戦っているのだろうか。
これだけ時間がかかっているということは
かなりもつれているに違いない。

多人数。乱戦。飛び交う流れ光流弾。
トライローとクンダリーニじゃ2人合わせても
オレ1人分に満たないだろうから
戦力的にはやや不利か?
ああ、オレの大好きなパターンだ。

なのに、こんな小降りの雨のせいで。

(おいてけぼりかよ・・・)

今からでも、飛び出して行って、乱入したい。

したい、けど。

無理。

乾いた喉を潤すために、
キッチンに水を取りに行くのすらキツい。

なんとか身を起こして、
テーブルに置かれた水差しを念動力で引き寄せて
ヤケ酒よろしくラッパ飲みする。

「あーあ・・・」


今度は声に出して、呟いて。
オレは再びベッドにもぐりこんだ。



某選手が手首痛でスタメンからはずれた頃、書きだしたネタ。
目の前で熱戦が繰り広げられてて、味方の方が劣勢で。
ぼんやりとした目でベンチに座ってる彼はどんなことを考えてるんだろう?
と思って書いてみたんですが・・・
某選手は結構思い詰めそうだけど、あっくんは単純そうだなーという結果に。

update 2010/07/24


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