「あー、もうびっくりしたわよ!ホント信じらんない!」

意識を取り戻すと、
大きな声が上から降ってきた。
アカラナータは人混みから少し離れたベンチに横になっていた。
目を動かすと赤いコートが飛び込んでくる。
頭の下は柔らかく温かくて、俗にいう「ひざまくら」状態なのだと理解する。

普段ならば飛び起きる所であるが、
なにしろまだ頭が痛むので、アカラナータはうう、と唸ると再び目を閉じた。

「大きな声だすなよ・・・頭が痛い」

「熱はないのよねぇ・・・なに、人酔い?」

額に置かれた手がヒヤリと冷たい。
アカラナータはその手に自分の手を重ねた。

「冷てえよ、馬鹿」

誰のせいだと思ってんのよ!とわめく声は無視する。

「で、願い事とやらはできたのかよ」
「したわよ!した途端にアーちゃんが倒れちゃったんじゃない!」
「あーそうだっけか」
「そうだっけ、じゃないわよ!ここまでつれてくるの、大変だったんだから!」
「そりゃどうも」

額の手を掴んで、ゆっくりと自分の胸の上に置く。

「で」

目を開けて、トライローの目をじっと見る。

「その願い事とやらは叶いそうか?」
「・・・う」

口ごもったトライローが可笑しくて、
ふき出しそうになるのをこらえる。
らしくない、と思う。
トライローも、自分も。
けど、たまには悪くないだろうとも思う。
多分。

クンダリーニを置いてきて良かった、と心底思う。
アカラナータは胸の上に置いた手を軽く握ってやってから、
ゆっくりと目を閉じた。


あとは相手次第だ。


「クチビルノスルコトハ」




大掃除してたら思いついたんで、紅白見ながら書いてみた初詣ネタです。
年の初めからなんかいちゃいちゃしててすみません。
お姉様の願い事については明記しないままにしてみたんですが・・・
ま、ご想像にお任せします(笑)
あと、この後2人がどうなったのかについても、ご想像にお任せします。
ってか誰か書いて私にプレゼントしてください(笑)。
update 2010/01/01

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