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夜。 というか、深夜。 イルヴァーナはまたも滝の上の茂みにいた。 「いい加減死ぬぞ、あれ」 そして、盛大に、ため息をつく。 アカラナータは、夕方と全く変わらない状態で、滝の下に鎮座ましましていた。 左にガックリと傾いた首が、微妙にまずい。 目が相変わらずうつろなところをみると、まだ答えは見つからないようだ。 (おいおい、しっかりしてくれよ、後輩) イルヴァーナは、滝壺の縁へと降りると、アカラナータを見つめた。 メキラの話によれば、アナンタか、彼を探しているはずの 彼の仲間たちがそろそろ来そうなものではあるが、まだ、姿は見えない。 いくらここが辺境の霊山とはいえ、少し遅くないだろうか。 イルヴァーナは、少し、焦りを感じていた。 ここは天霊界。 もう肉体的には死ぬことはないのだけれど、 精神的に、死んでしまうことがないとはいいきれない。 「うーん…」 できれば、第三者の自分が手をだしたくはないのだけれど。 もう、時間切れ、だと思われた。 となれば、急いであそこから引きずり出さなければ。 イルヴァーナが滝壺に踏み込もうとした、その時。 「」 「」 人の声。ソーマの気配。 「…ようやく、到着か」 愚痴をこぼしながらも、内心ホッとする。 これで、もう大丈夫だろう。 「お前、いい仲間いるんじゃないか。良かったな」 そう、アカラナータに声をかけ。 イルヴァーナは再び、滝の上の茂みに身を隠す。 そうして。 まもなく現れたアナンタと、クンダリーニが、 アカラナータを滝から引きずり出すのを見届けてから、 彼はその場をあとにしたのだった。 前に書いたネタの焼き直し。 イルが天霊界日記で「ブドウ」として現れる前のお話です。 まあ、あっくんのこの壊れ具合に関しては、日記のほうを参照していただくとして、 メキラは全く、非道だな〜と思う次第。 update 2012/03/13 |