御前試合
トライローが本科生になって、2年目に入った年。 候補生達による、御前試合が行われることになった。 場所は、天空殿裏の闘技場。 来賓は調和神スーリヤを始め、水帝ヴリトラ、霧帝メキラ、 そして、『英雄』不動明王イルヴァーナ、と、そうそうたる面子である。 当然のごとく、出場者達は、事前の準備に熱が入る。 トライローもその例外ではない。 試合への出場が決まった1か月前から、彼女は特訓に特訓を重ねてきた。 が、1つの問題が彼女を悩ませていた。 …得物が決まらない。 最初は、先代降三世明王が使っていたという、 剣を使って稽古していた。 が、どうにも、手に馴染まない。 そこで、使いなれた棒に戻してみたが、今度は気が乗らない。 これでは、普通すぎる。 あれだけ豪華な来賓が集まるのだ。 折角のアピールの場を、逃す手はない。 特に、イルヴァーナには、修行の成果をみせつけたい。 そう彼女は考えていた。 では、どうするのか。 悩みに悩んだトライローは、1つの結論にたどり着いた。 |